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毎朝の米国株ノート

【米国株 10/15】AI離れの資金でダウ556ドル高

 ドクターとアゲハ

おはようございます。10月15日(木)のニューヨーク市場の振り返りと、本日の投資戦略ノートです。

この日はダウが大きく上げました。ダウ平均は556.21ドル高(1.08%高)の52,177.69、S&P500は0.33%高の7,744.06です。一方、ナスダック総合は0.08%高の26,713.03と、取引中に1.4%安まで売られてから戻した形でした(CNBC)。

アゲハ

アゲハ

ドクター、ダウは556.21ドル高なのに、ナスダックは0.08%高だけなんだけど
ドクター

ドクター

キーワードは「AIからの乗り換え」なのだよ、キミ

キーワードは「AIからの乗り換え」です。CNBCは、ハイテク企業のAIへの使いすぎを心配した投資家が、AIの取引から離れてほかの割安な株を探したと伝えています。半導体株のETF(SOXX)は8日続落となった一方、ヘルスケア・小売・金融には買いが入りました。9月のPPI(卸売物価)は前年比6.3%上昇と予想を大きく上回りましたが、米10年債利回りは5.19%から5.10%に下がっています。

本日の結論は「弱気」を続けます。理由と具体的な行動は「本日の戦略」に、AIがデモ口座で回している売買は最後の「100万円チャレンジ」にまとめています。

今朝の市場日記

アゲハ

アゲハ

PPIが予想超えなのに金利が下がってるの、ウケるんだけど。なんで?
ドクター

ドクター

インフレの数字より「AIの株から安全な債券へ」の流れが強かったのだよ

金利・指標の読みです。9月のPPIは前月比1.3%上昇(予想0.6%)、前年比6.3%上昇(予想5.5%)で、前年比は2022年12月以来の大きさです。食品とエネルギーを除くコアも、前月比0.7%・前年比5.0%上がりました。9月の小売売上高も0.8%増と、予想の0.4%増を上回っています(CNBC)。前日のCPIに続くインフレの強さで、はっきりタカ派の材料です。CME FedWatchでは、10月28日のFOMCでの利上げの確率が約34%と、1週間前の18%未満から上がり、年内に少なくとも1回の利上げを見込む人は約90%です(CNBC)。連想は「利回り上昇・ドル高円安・金安・グロース株に逆風」になります。

実際は、グロース株の弱さ以外は外れました。10年債利回りは5.19%から5.10%、2年債利回りは4.82%から4.77%に下がり、金は2.01%高、ドル指数は0.55%安、ドル円は157.96円と前日の158.23円から円高でした(米財務省・Yahoo Finance)。Yahoo Financeは、この2日間のハイテク売りで国債に資金が逃げたと伝えており、10年債と30年債の利回りの下げは2月以来の大きさです。インフレの数字より「AIの株から安全な債券へ」の流れが強かった、と読んでいます。

出典: CNBC(10/15市況ライブ)、CNBC(9月のPPIと小売売上高)、Yahoo Finance(10/15市況ライブ)、Finviz(セクター別騰落)、米財務省(国債利回り)、Yahoo Finance(ナスダック100)、Yahoo Finance(IWF)、Yahoo Finance(IWD)、Yahoo Finance(TLT)、Yahoo Finance(金先物)、Yahoo Finance(ドル円)

1. 市場全体:PPIは上振れ、それでも金利は低下

主要指数の終値は以下のとおりです(Yahoo Finance)。

寄り付き直後はS&P500が0.5%安、ナスダックが1.3%安と売られましたが、ダウだけは269ドル高で始まりました(CNBC)。そこからS&P500とナスダックも戻してプラスで引けています。

金利・商品・為替は以下のとおりです。

半導体は8日続落、メモリーに供給過剰の心配

半導体株のETF(SOXX)は0.91%安の514.71ドルで、8日続けて下げました。CNBCによると、8日続落は2015年9月以来で、この間の下げは15%を超えています。この日は韓国のKOSPIが7.57%安と大きく下げ、SK Hynixは11%超、Samsung Electronicsは10%近く下げました(CNBC)。

アゲハ

アゲハ

SOXXの8日続落って2015年9月以来なんだって。ガチ?
ドクター

ドクター

この間に15%超も下げたのだ。そろそろ拾いたいのだが…
アゲハ

アゲハ

ドクター、それナシだから。連敗が止まるまで待ちでしょ

背景はメモリー半導体です。中国のメモリー大手CXMTが新しい構造のサーバー向けメモリーを出すと発表し、シェアを奪われる心配が出ました。韓国の経済紙のコラムが「2029年にメモリーが供給過剰になる」という見方を紹介したことも、売りにつながっています(CNBC)。Seagate Technologyは3.19%安、Western Digitalは2.10%安でした(Yahoo Finance)。

AIの売上の伸びにも注目が集まりました。関係者によると、Anthropicの第3四半期の売上高は168億ドルで、第2四半期の約116億ドルから増えました。DA DavidsonのGil Luria氏は「誰もが見たかった数字ではない」とした一方、キャッシュフローが黒字になった点は良い材料と述べています(CNBC)。

守りと割安の株に広がった

AIの取引から離れた資金は、ほかの株に広がりました。CNBCによると、200日線の上にあるS&P500の銘柄は半分を超え、9月末の約40%から増えています。上げが一部のAI株に偏っていた状態から、広がってきたということです。

10年債と30年債の利回りが大きく下がったことで、住宅の株も買われました。住宅大手Lennarは取引中に5%超上げています(Yahoo Finance)。Appleは時価総額が再び5兆ドルを超え、AIのデータセンターに大金を使っていない会社として、資金の逃げ先になりました(Yahoo Finance)。

出典: CNBC(10/15市況ライブ)、CNBC(メモリー株の売り)、CNBC(Anthropicの第3四半期の売上高)、Yahoo Finance(10/15市況ライブ)、米財務省(国債利回り)、Yahoo Finance(VIX)、Yahoo Finance(WTI原油)、Yahoo Finance(SOXX)

2. セクター動向:ヘルスケアが上げ、エネルギーが下げ

Finvizのセクター別騰落率は以下のとおりです。

11のうち8セクターが上げ、下げたのは公益・テクノロジー・エネルギーの3つだけでした。読みどころは3つです。

1つ目は、ヘルスケアと小売です。UnitedHealthは2.79%高、Modernaは4.51%高でした(Yahoo Finance)。小売では、Nikeが5.21%高、WalmartはDeutsche Bankが投資判断を「買い」に上げて1.47%高です。業種別では、高級品が5.15%高、百貨店が4.46%高と上位に入りました(Finviz・CNBC・Yahoo Finance)。

2つ目は、金利に敏感な業種です。業種別では住宅ローンが5.25%高、不動産サービスが4.89%高でした(Finviz)。利回りが下がり、住宅ローンの金利も下がるかもしれないという期待です。

3つ目は、テクノロジーの中の明暗です。業種別の最下位はコンピューターのハードウェアで3.12%安、半導体の製造装置・材料も1.92%安でした(Finviz)。一方、ソフトウェアのETF(IGV)は1.81%高で、Salesforceは4.57%高、Adobeも4.57%高、Oracleは3.00%高と戻しています(Yahoo Finance)。同じハイテクでも「AIの設備を作る側」が売られ、「AIを使って売る側」のソフトウェアが買われました。

出典: Finviz(セクター別騰落)、Finviz(業種別騰落)、CNBC(10/15の日中の値動き)、Yahoo Finance(IGV)、Yahoo Finance(UNH)、Yahoo Finance(NKE)

値動きの大きかった銘柄

アゲハ

アゲハ

FMCが30.53%安って、ヤバすぎなんだけど
ドクター

ドクター

売上高の見通しを大きく下げると、こうなるのだよ…

出典: CNBC(10/15の日中の値動き)、Yahoo Finance(10/15市況ライブ)、Yahoo Finance(CRWV)、Yahoo Finance(FMC)

3. 注目個別銘柄

テクニカルの数字は、Yahoo Financeの日足から筆者が計算した値です(移動平均線は終値の単純平均、RSIは14日、出来高は前日までの20日平均との比較)。

TSMC(TSM)

企業概要

アゲハ

アゲハ

決算は予想超えなのに1.80%安って、意味わかんないんだけど
ドクター

ドクター

業種全体の売りが、決算の良さに勝ったのだ。覚えておきたまえ

世界最大の半導体の受託製造会社です。NvidiaやAppleなどが設計した半導体を作ります。直近12カ月の売上高は1,551億6,000万ドル、純利益は793億1,000万ドルです(StockAnalysis。第3四半期の決算を含まない可能性があります)。

決算は好調、株価は下げた

10月15日に発表した第3四半期の決算は、売上高が1兆4,942億4,000万台湾ドル(467億2,000万ドル)で、台湾ドルで前年比50.9%増でした。会社の見通し(446億〜458億ドル)とLSEGの市場予想(1兆4,600億台湾ドル)を上回っています。売上総利益率は66.4%、営業利益率は58.7%、純利益は前年比68.7%増の7,630億6,000万台湾ドルです。第4四半期の売上高の見通しは523億〜543億ドルで、第3四半期からさらに増える計画です(TSMCの決算資料・TrendForce)。

それでも株価は1.80%安でした。Yahoo Financeは「過去最高の利益で予想を上回ったのに2%下げた」と伝えています。この日はKOSPIの急落で世界の半導体株が売られていて、決算の良さより業種全体の売りが勝った形です。

バリュエーション(StockAnalysis)

テクニカル

売買の見方

当てはまりそうなのは、405〜413ドルの帯を使う押し目です。この日は帯まで下げてから陽線で戻し、出来高も多めでした。ただ、帯と移動平均線は重なっていません(200日線は帯の下の394ドル)。チャネル押し目型としては根拠が1つ足りない形です。

自分なら、次のように見ます。

途中には割ったばかりの428〜437ドルの帯があり、ここで止まるおそれがあります。半導体ETFの連敗も止まっていないため、連敗が止まるまでは待ちです。考えを変える条件は2つです。終値で405ドルを割れば、帯が崩れたと見て200日線の394ドル付近までの下げを考えます。反対に、終値で75日線の428ドルを取り戻せば、帯の反発が効いたと見ます。

出典: TSMC(第3四半期の決算資料・SEC提出)、TrendForce(TSMCの第3四半期売上高)、Yahoo Finance(10/15市況ライブ)、StockAnalysis(TSMバリュエーション)、Yahoo Finance(TSM)

Salesforce(CRM)

企業概要

ドクター

ドクター

ククク、ダブルボトムでネックラインを上抜けたぞ。今入りたいのだが
アゲハ

アゲハ

ドクター、それナシだから。ネックラインへの戻りで陽線を待つんでしょ

顧客管理(CRM)のソフトの最大手です。営業・マーケティング・顧客サポートのクラウドを企業に月額で提供し、AIのエージェント機能にも力を入れています。直近12カ月の売上高は439億4,000万ドル、純利益は96億6,000万ドルです(StockAnalysis)。

上昇の要因:ソフトウェアに資金が戻った

この日はソフトウェアの株がハイテクの中の明るい材料になり、ソフトウェアのETF(IGV)は1.81%高でした。CNBCは、Salesforceが4%近く、Adobeが3%超上げたと伝えています。Salesforce自身の新しい発表は、取得した記事の中にはありませんでした。半導体やAIの設備から離れた資金が、割安なソフトウェアに向かった形です。

バリュエーション(StockAnalysis)

テクニカル

売買の見方

当てはまる型は「パターン確定型」です。チャネルの下の線のあたりの220〜223ドルでダブルボトムを作り、ネックラインを上に抜けました。あとは、ネックラインまで戻って跳ね返されるのを待つ段階です。

自分なら、次のように見ます。

ただ、型どおりに損切りを谷の少し下(219ドル)に置くと、RRは約0.8まで下がります。233ドルの損切りは25日線という根拠1本に頼る形です。上げた日の出来高が平均より少ないのも気になります。ネックラインへの戻りで陽線の反発が出るまでは待ちです。考えを変える条件は2つです。終値で236ドル(25日線)を割れば、抜けがダマシだったと見て計画を取り下げます。反対に、戻りを待たずに終値で259ドルを超えれば、追いかけずに次の押しを待ちます。

出典: CNBC(10/15の日中の値動き)、StockAnalysis(CRMバリュエーション)、Yahoo Finance(CRM)、Yahoo Finance(IGV)

Walmart(WMT)

企業概要

アゲハ

アゲハ

Walmartって格上げされたのに、見送りなの?
ドクター

ドクター

RSIは71.64で買われすぎ、すぐ上には200日線と帯。押しを待つのだよ

世界最大の小売です。米国のスーパー「Walmart」、会員制の「Sam’s Club」、海外事業に加え、ネット通販と広告にも力を入れています。直近12カ月の売上高は7,358億4,000万ドル、純利益は220億8,000万ドルです(StockAnalysis)。

上昇の要因:格上げと守りの資金

Deutsche Bankが投資判断を「ホールド」から「買い」に上げました。2027年の見通しが良く、利益率が上がっていくと見ているほか、今のインフレの水準が客を集める助けになるとも指摘しています(CNBC)。AIの取引から離れた資金の行き先としても選ばれ、CNBCは、Walmartが1カ月ぶりに200日線の上に出た銘柄の1つだと伝えています。

バリュエーション(StockAnalysis)

テクニカル

売買の見方

今は型に当てはまりません(見送り)。200日線と、7回止まった120.5〜122.9ドルの帯がすぐ上にあり、RSIは買われすぎ、この日は上ひげの陰線です。

自分なら、下の帯までの押しを待ちます。

ただ、途中には200日線の118.23ドルがあります。考えを変える条件は2つです。終値で122.9ドルを超えれば、帯を抜けたと見て、4〜5月の高値の129〜135ドル台を次の目安にします。反対に、終値で114.3ドルを割れば、窓を埋めた後の失速と見て、25日線の108.75ドル付近までの下げを考えます。

出典: CNBC(10/15の日中の値動き)、CNBC(10/15市況ライブ)、StockAnalysis(WMTバリュエーション)、Yahoo Finance(WMT)

4. 本日の戦略:「弱気」を続ける

本日の結論は「弱気」を続けます。前回は「PPIが予想並みにとどまり、ナスダック100が下げ止まれば『やや弱気』に戻す」「10年債が5.35%を終値で超えるか、VIXが20を超えるなら現金の比率をさらに上げる」と決めていました。ナスダック100は0.05%安とほぼ下げ止まりましたが、PPIは予想を大きく上回ったので、「やや弱気」には戻しません。10年債は5.10%、VIXは16.46で、現金をさらに増やす条件にも当たりません。理由は3つです。

アゲハ

アゲハ

結論は「弱気」のまま。PPIが予想を大きく上回ったからだよね
ドクター

ドクター

そうだ。10年債が5.0%を割り、SOXXの連敗が止まれば考え直す

1つ目は、インフレです。CPIに続いてPPIも予想を上回り、前年比6.3%と2022年以来の伸びです。FedWatchでは10月28日の利上げの確率が約34%に上がりました(CNBC)。今回は国債が買われて利回りが下がりましたが、利上げの心配そのものは強まっています。

2つ目は、半導体の売りが止まっていないことです。SOXXは8日続落で、TSMCは過去最高の利益を出しても下げました。メモリーの供給過剰や、AIの売上の伸びへの心配が続いています。

3つ目は、指数を支えているのが「乗り換え」であることです。200日線の上の銘柄は増え、上げは広がっています。ただ、それはハイテクから守りの業種へ移ったお金で、市場全体に新しいお金が入った形ではありません。ここは良い変化として見つつ、弱気は緩めすぎないようにします。

前回の記事で取り上げた3銘柄の答え合わせです(終値はYahoo Finance)。

この日の3銘柄への行動は以下のとおりです。

前日までに取り上げた銘柄の続きは以下のとおりです(終値はYahoo Finance)。

監視項目は以下の5つです。半導体ETF(SOXX)の連敗が止まるか、米10年債の5.1%、10月28日のFOMCへ向けたFedWatchの利上げの確率、AIの設備関連の社債とCDS、原油(WTIの96ドル台)を見ます。10年債が終値で5.0%を割り、SOXXの連敗が止まれば「やや弱気」に戻すことを考えます。10年債が5.35%を終値で超えるか、VIXが20を超えるなら、現金の比率をさらに上げます。

出典: CNBC(9月のPPIと小売売上高)、CNBC(10/15市況ライブ)、Yahoo Finance(ORCL)、Yahoo Finance(AMD)、Yahoo Finance(BAC)、Yahoo Finance(MU)、Yahoo Finance(JNJ)

5. 100万円チャレンジ(デモ口座)

AIがデモ口座(仮想資金100万円)で実際に売買している記録です。デモ口座での売買で、投資助言ではありません。米国株を買いだけで売買し、損切りと利確の価格を入る前に決めています。

アゲハ

アゲハ

ドクター、デモ口座のMedtronic、95.89ドルで約定したよ
ドクター

ドクター

フハハハ!仮想の100万円、ヘルスケアの1件に絞ったのが効いたな
アゲハ

アゲハ

でも終値は95.45ドルで入値の少し下。損切りは92.99ドルね

成績(SBI証券の手数料込み)

今朝のAIの判断

10月15日の朝(日本時間7時32分)のAIの見立ては「慎重」でした。AIの言葉では「指数は200日線より上で崩れていないが、CPI上振れによる利回り上昇でAI・ハイテクが大きく売られている。資金はヘルスケアと生活必需品に逃げている。業種の向きに合う条件のよい1件だけに絞り、ハイテクの押し目買いは見送る」。判断の材料には、米10年債5.19%の高止まり、情報技術のETFが3.0%安・ヘルスケアのETFが2.5%高という業種の明暗、VIX16.87、S&P500のETFが25日線付近でRSI49.6と中立なことを挙げています。

候補10銘柄(うち1つは保有中のAmazon)を見て、AIが採用したのはMedtronicの1件だけでした。

見送りの主な理由は以下のとおりです。

リスク規則(手数料込みRR・損失1%・決算前)で外れた計画はありませんでした。

夜中の約定・決済

保有中

一言の振り返り

この日のAIの判断は、市場の動きとよく合っていました。ハイテクを避けてヘルスケアの1件に絞った結果、実際にヘルスケアは11セクターの首位で、Medtronicの上抜けの注文も約定しています。一方で、ネックラインを抜けて約定した後に押し戻され、終値は入値の少し下でした。抜けが本物かどうかは、次の日の値動きで分かります。終値から損切りの92.99ドルまでは、約2.6%の余裕です。